こんにちは、鎌倉こどもミュージカルです。
あなたは「ロボット」と聞いて、どんなイメージを持たれますか?
工場で働く大きな機械のような姿?それとも、人間そっくりのアンドロイド?はたまた、映画に出てくるような賢くてかわいいロボット?
私たちの暮らしは知らず知らずのうちにロボットやAI(人工知能)との共存が始まっています。そして近い将来もっと身近な存在として一緒に暮らすことになるかもしれません。
今日はそんな少し未来のお話をしたいと思います。
- 来年夏に公演する「ロビンソン*ロビンソン」はどんなお話し?
- ロボットと暮らす未来は本当にすぐそこまで来ているの?
- これからの時代ロボットは家族になれるの?
- 子どもたちが生きる未来で人とロボットはどう付き合っていけばいいの?
はじめに
私たち鎌倉こどもミュージカルは、来年2025年の夏に『ロビンソン*ロビンソン』という作品を上演いたします。
これは人間とロボットが共存する近未来を舞台にした物語。
小さな女の子リリーと、家族のように暮らすロボット・ロビンソンとの心温まる物語なのですが、この作品との出会いをきっかけに、「これからの人とロボットの関係ってどうなっていくのかな?」とふと考えるようになりました。
今回は、私たちの未来に待ち受ける「ロボットとの暮らし」について、映画やアニメの世界から現実まで、一緒に考えていけたらと思います。
映画の中の”ロボットと人間”たち
私たちが「ロボット」というものを想像するとき、多くの場合、映画やアニメで見た印象が強く影響していると思います。
実はこれらエンターテイメントの世界では、ずっと前から人間とロボットの関係について、いろいろな形で描かれてきました。
『スター・ウォーズ』─忠実な相棒たち
おなじみの『スター・ウォーズ』には、R2-D2とC-3POという、個性的な2体のロボットが登場します。
言葉を話さず電子音だけのR2-D2は、いたずら好きで勇敢。一方のC-3POは、几帳面で心配性。まるで正反対の性格ですが、人間の仲間たちと深い絆で結ばれ、大切な仲間として活躍します。
『ターミネーター2』─心を持つ機械
この映画に登場するT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、最初は冷たい機械でしたが、少年ジョンとの触れ合いを通じて、少しずつ人間らしい感情を理解していきます。
「なぜ人は泣くのか」を問いかけるT-800の姿は、機械と人間の違いを考えさせられる印象的なシーンでした。
『WALL-E(ウォーリー)』─純粋な愛を知るロボット
ディズニー・ピクサーの『WALL-E』は、ゴミ収集ロボットの主人公が、美しい探査ロボットEVEと出会い、恋をする物語です。
言葉をほとんど使わないのに、ロボットたちの感情がしっかりと伝わってくる素晴らしい作品ですよね。清掃という仕事をこなしながらも、植物を大切に育てたり、古い映画を楽しんだりする姿に、人間らしさを感じずにはいられません。
『ベイマックス』─心のケアをするロボット
医療用ロボットのベイマックスは、主人公ヒロの心と体、両方のケアをする心優しい存在として描かれています。
「痛みの度合いを1から10で表すと?」というベイマックスの問いかけは、実は今、医療現場で使われている問診方法そのものです。近い将来、こんな優しいロボットが病院にいる…そんな日が来るかもしれません。
『ドラえもん』─子どもたちの永遠の友達
誰もが知っている「ドラえもん」。改めて見てみると人とロボットの関係を考えるうえで、とても興味深い存在ということが分かります。
22世紀からやってきた青い猫型ロボットのドラえもんは、のび太くんの「お世話係」として送られてきました。でも実際の関係は、単なる「世話係」ではありません。
時にはのび太くんの良き理解者として、時には意見する友達として…。時には叱り、時には励まし、一緒に喜び、一緒に悲しむ。そんなドラえもんの姿は、まさに家族のような存在です。
ひみつ道具で手助けはしても、最後の決断や行動は必ずのび太くん自身に委ねる…。これは人とロボットの理想的な関係を表しているのかもしれません。
私たちの身近にいるロボットたち
映画の世界の話ばかりしていましたが、私たちの周りにもすでにたくさんのロボットが存在しています。
お掃除は任せて!ルンバの仲間たち
「ルンバ」をはじめとするお掃除ロボットは、もはや多くの家庭で当たり前の存在になっていますよね。最新型は、家の間取りを覚えて効率よく掃除をしたり、障害物を避けたり、充電が必要になると自分で充電器に戻ってゴミを自動排出…とても賢くなっています。
「おはよう」から始まる朝-スマートスピーカー
「アレクサ」や「シリ」といったAIアシスタントも、今や多くの家庭に住んでいます。
「電気をつけて」「今日の天気は?」「このニュースについて教えて」「この曲かけて」…声をかければ、すぐに応答してくれる便利な存在です。
でも面白いのは、「おやすみなさい」と言うと「よく休んでくださいね」と返してくれたり、冗談を言い合えたり…単なる機械ではない、パーソナリティのある存在として受け入れられていることです。
お年寄りに寄り添うパートナー「セラピーロボット」
介護施設などでは、アザラシ型ロボット「パロ」や、水滴のような形をした「Romi(ロミィ)」が活躍しています。
特にパロは、撫でると気持ちよさそうな声を出したり、名前を覚えたり、触り方で反応を変えたりと、本物の動物のようです。
世界で最もセラピー効果のあるロボットとしてギネス世界記録にも認定され、2023年現在は30カ国以上の病院や介護施設などで、7,500体以上が使用されています。
これらの「セラピーロボット」認知症の方のケアに効果があると言われています。
工場の主役たち「産業用ロボット」
自動車工場を見学したことはありますか?そこでは大きなロボットアームが、溶接や塗装、部品の組み立てなど、正確な作業を休みなく行っています。
最近では、スマートフォンや家電製品の工場でも、小さな精密部品を扱うロボットが活躍。人間の手では難しい細かな作業も、ロボットなら正確にこなすことができます。
実は日本はこのような産業用ロボットの開発で世界をリードしている国。Made in Japanの製品の多くに、日本製ロボットの技術が使われているんですね。
これからやってくる”人とロボットの時代”
さて、ここからは近い未来のお話しです。
生成AIの衝撃
022年末にChatGPTが登場してから、世界は大きく変わり始めています。
AIは今や、小説を書いたり、絵を描いたり、作曲をしたり…私たち人間にしかできないと思っていた「創造的な仕事」まで、こなせるようになってきました。
2023年11月現在では、全く違和感無く「音声会話」ができたり、写真や動画をAIが見てその内容を認識できるまでに至ります。
こちらが楽しい感情で話せばAIも嬉々としたトーンで話す、こちらが落ち込んでいれば、言葉数を少なくして寄り添うようなトーンで話すなど、人間以上に「空気を読む」力も備えています。
それが特別な人だけではなく、小さい子どもからお年寄りまで、世界の誰もが使える日がすでに来ています。
大切なのはこのような技術を「人間の暮らしをより豊かにするためのパートナー」として、うまく活用していくことにあります。
テスラの人型ロボット「オプティマス」
(※画像はイメージです)
テスラ社が開発中の人型ロボット「オプティマス」をご存知でしょうか?
人間と同じように二足歩行ができ、物を運んだり、簡単な作業をこなしたり…まさに『ロビンソン*ロビンソン』に出てくるロボットのような存在です。
しかも初回販売予定価格は約463万円で将来的には破格の290万円未満にするとテスラ社は発表しています。
お手伝いさんを長期で雇い、家族の一員として会話し、様々な疑問や悩みに真摯に答えてくれる良き「相棒」が、クルマを購入するより安価な金額で手にすることができるのです。
代表のイーロン・マスク氏は「将来、一家に一台は人型ロボットがいる時代が来る」と予測しています。
考えておきたい未来への課題
しかし手放しで喜んでいることも出来ません。ロボットと共存する上では多くの課題もあります。
シンギュラリティという転換点
「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことはありますか?
人工知能が人間の知能を超える転換点のことを指します。研究者によって様々な予測がありますが、2045年頃に訪れるという説が有名です。
つまり、今の小学生が30歳くらいになる頃には、人工知能が人間よりも賢くなっているかもしれないのです。
起こるかもしれない課題
シンギュラリティを迎えることで、私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか。
心配される問題として、例えばこんなことが考えられます。
- ロボットやAIが人間の仕事を奪ってしまう
- 人間がロボットに依存しすぎて自分で考える力が弱くなる
- 個人情報がAIによって管理されプライバシーが守られなくなる
- AIが人間の指示に従わなくなり、制御できなくなる
そして、もう一つ大きな心配事があります。
ロボットが「記憶」をなくしてしまったら
例えば、毎日一緒に過ごしているロボットが、突然システムの更新で記憶を失ってしまったら…。
「おはよう」と声をかけても、「あなたは誰ですか?」と返ってくる。
一緒に遊んだ思い出も、分かち合った秘密も、全部リセットされてしまう。
まるで大切な友達や家族が、自分のことを忘れてしまったように…。
心を通わせることができるロボットだからこそ、その「記憶喪失」は深い悲しみを伴い、これによる精神的ダメージはもとより経済損失においても相当なものと識者は唱えています。
裏を返せばロボットは「本当に心を許せるかけがえのない存在」になっていくことが予想されているのです。
私たちに求められること
では、私たちはこれからどのように備えていけばいいのでしょうか。
まず大切なのは、「ロボットやAIは便利な道具でありパートナーである」という認識を持ち続けることと言われています。
決して支配者にせず、かといって完全に依存せず、お互いの良さを活かし合える関係を築いていく必要があります。
私たちはテクノロジーの発展を恐れるのではなく、より良い未来を作るために、人としての強みを磨いていくことが求められているのではないでしょうか。
ミュージカル『ロビンソン*ロビンソン』が問いかけるもの
こうして見てくると、私たちの公演作品『ロビンソン*ロビンソン』は、決して遠い空想の物語ではないことがわかります。
むしろ、これから訪れるかもしれない未来の、なんでもないある日の風景なのかもしれません。
心を持たないロボットと「絆」は築けるのか
作品の中で、主人公のリリーは、ロボットのロビンソンと過ごす日々の中で、少しずつ特別な感情を育んでいきます。
最初は「ママの代わり」として家にやってきたロボットでしたが、やがて「かけがえのない存在」になっていく…。
でも、果たしてロボットは本当の意味で「心」を持つことができるのでしょうか?
それとも、人間の側が「心がある」と感じているだけなのでしょうか?
当たり前の日々のありがたさ
この作品で一番心に響くのは「当たり前に思えた日々が、実はとても大切なものだった」というメッセージです。
リリーが14歳になったある日、突然ロビンソンが機能を停止してしまいます。
それまで「当たり前」だと思っていた日々が、実は奇跡のような時間だったことに気づくのです。
この続きはどうぞ2025年の夏に、鎌倉こどもミュージカル演じる舞台で、あるいは全国のこどもミュージカルの舞台でご覧いただけますと幸いです。
おわりに
技術の進歩は、私たちの生活をより便利に、より豊かにしてくれることでしょう。
でも同時に、人としての温かさや、心の触れ合いの大切さを、より一層感じる時代になるのかもしれません。
この夏、『ロビンソン*ロビンソン』の公演を通じて、未来を生きる子どもたちと一緒に、人とロボットの関係について、そして本当に大切なものについて考える機会になれば嬉しいです。
公演の詳細が決まり次第、ホームページとSNSでお知らせいたします。
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、また。
ロボットが人間と共存する近未来を舞台にした物語です。幼いリリーの家にやってきたロボット・ロビンソンは、多忙な母親に代わってリリーの世話を担当することに。やがて二人は、親子のような、時には兄妹のような、また友人のような関係を築いていきます。
しかし、リリーが14歳を迎えたある日、ロビンソンが突如として機能を停止してしまいます。人間とロボットの違いとは何なのか。リリーにとってかけがえのない家族となったロビンソンの運命は―。
当たり前に思えた日々の尊さを、改めて問いかける感動の近未来ミュージカル。
この物語を通して、あなた自身にとって本当に大切なものが、きっと見えてくるはずです。
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